ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
「答えは、ノーだ」


 中野和也は、サラリとそう言った。


 “ノー”って、もしかして“イエス”の反対?

 “はい”の反対だから、“いいえ”って事よね?

 つまり、中野和也は私の誘いを断ったってこと?

 まさか、ね?


「あの……、もう一回言ってくれる?」


「あ? 答えはノー。あんたとは付き合いたくない」


 私は、トンカチか何かで頭をガツンと殴られたような気がした。


 小山君から中野和也の変わった趣味については聞いていたので、そういう可能性がある事は考えていたけど、実際に断られると、私は酷いショックを受けた。

 だって、男の子に断られた、つまり振られたなんて事、これまでに一度もなかったのだから……


「じょ、冗談でしょ? “光栄だ”って、あなた言ったじゃないの!?」


 思わず叫んだ私の声は、もはや悲鳴に近いものだった。


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