あの頃、テレフォンボックスで
重なり合ったままで
両手を伸ばして
こぶしを強く握り締める。



今、この手の中に
掴んでいるものを

少しもこぼしてはいけない。



ケイタはいつまでも
そのままの姿勢で、
動かなかった。



体を離してしまったら・・・・
その先を考えるのが怖い。






ふと目をやると、
ケイタの頭上に
ぼんやりと浮かぶ
カンディンスキーの額縁。



私たちは
あの空を漂っている・・・・・


今・・・・・
二人で。


そして永遠に・・・・・。
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