あの頃、テレフォンボックスで
志穂からの誘いで
遠出をした。
久しぶりに見る神戸の街。
1時間強もあれば、神戸に着くのに
いつでも行ける、と思って
なかなか
行けない街。
「瞳子~~!」
志穂、あいかわらず、元気そう。
元町の小さなビストロで
ランチをする。
「ね、杏ちゃん実家に預けたの?」
「そうよ。
あんなの連れて、ランチなんて
できるわけないじゃない」
「もうすぐ2才だっけ?
志穂のお母さんも、かわいくて仕方ないでしょうね」
「それもそうだけど、
親も歳だしね、小さい子の面倒みるのは
億劫みたいよ。
弟の子どもたちは、もうみんな
小学生だもの。
私も瞳子みたいに、
早く子どもを作ればよかったなぁ。
そうすれば、今ごろ優雅に
自分の時間を楽しんでるはずなのに。」
「なに言ってるの、
さんざんやりたい仕事やって、
海外旅行も行きまくって、
マンションまで手に入れたくせに。」
「そうそう、
自分が結婚するなんて
思ってもみなかったんだもん。」
「素敵なダンナさんも手に入れて
何を後悔することがあるのよぉ」
「でも、そのかわりに
仕事を失ったわ。
杏のせいで
今まで積み上げてきた
私の人生を、ね。
後悔してるわけじゃなくて、
ふっと
あのまま独身でいたら、
なんてことを考えちゃうわけよ。」
遠出をした。
久しぶりに見る神戸の街。
1時間強もあれば、神戸に着くのに
いつでも行ける、と思って
なかなか
行けない街。
「瞳子~~!」
志穂、あいかわらず、元気そう。
元町の小さなビストロで
ランチをする。
「ね、杏ちゃん実家に預けたの?」
「そうよ。
あんなの連れて、ランチなんて
できるわけないじゃない」
「もうすぐ2才だっけ?
志穂のお母さんも、かわいくて仕方ないでしょうね」
「それもそうだけど、
親も歳だしね、小さい子の面倒みるのは
億劫みたいよ。
弟の子どもたちは、もうみんな
小学生だもの。
私も瞳子みたいに、
早く子どもを作ればよかったなぁ。
そうすれば、今ごろ優雅に
自分の時間を楽しんでるはずなのに。」
「なに言ってるの、
さんざんやりたい仕事やって、
海外旅行も行きまくって、
マンションまで手に入れたくせに。」
「そうそう、
自分が結婚するなんて
思ってもみなかったんだもん。」
「素敵なダンナさんも手に入れて
何を後悔することがあるのよぉ」
「でも、そのかわりに
仕事を失ったわ。
杏のせいで
今まで積み上げてきた
私の人生を、ね。
後悔してるわけじゃなくて、
ふっと
あのまま独身でいたら、
なんてことを考えちゃうわけよ。」