わたしは女の子になる。

「わかった、じゃあスケジュール帳を見る」

「だーめー!!」


今度はスケジュール帳に手を伸ばそうとする彼から、スケジュール帳も守る。


「なんでだよー!! 見せようと思って持ってきたんじゃないのかよー!!」

「違うってばー!」


彼の手の届かない所に、ファイルとスケジュール帳を置いて、不満そうな彼を見る。


「…だめ、です」

「なんで」

「…ないしょ、です」


私がそう答えると、彼は何も言わずにまたファイルとスケジュール帳に手を伸ばす。


「やーだー」


彼の手をつかんでそれを阻止する。

手、あったかいですね。

じゃなくて。




「なぁーんーでぇー」

「なぁーんーでーでーもー」


なんでだめかって、そりゃ。

クリアファイルは、君への大好きがにじみ出ちゃってる絵が入ってるし、スケジュール帳は、受験期に君に逢えなかった時の自分のうだうだが溢れてるから。


だから、つまり、


君への大好きが溢れちゃってるから、


大好きな君には見せれないんです。


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