雪が降る町~追憶のletter~

5.共通の過去



「晶~~~」


晶が会社に戻ると、待ってましたと言わんばかりにすり寄るようにきたのはありさだった。


「どういうこと?教えなさいよ」


こうなったときのありさは本当にしつこいということを知っている晶は、早々に大人しく白状した。

真田と出掛けたこと、今日のこと。
さっきありさの目の前であんなやりとりをして二人でランチに行ったのだから、多分ありさには気付かれてもいいと思ってのことだと判断してしまった。


「それ····すごいいい感じじゃん!!よし、晶!今夜行くよ!」
「え?え?」


ありさの強引な誘いに晶はただ聞き返すだけで、午後の仕事を始めたあとに考えても、どうせまた根掘り葉掘り聞くためのご飯にでも連れていかれるのだろうと想像をしていた。


けれど、就業時間を終えて晶とありさが着替えを済まし、会社を出た時に晶の予想だにしなかったことが起きていた。

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