雪が降る町~追憶のletter~
「なっ···んで!」


会社を出て少し歩いた先に立っている人物を見て晶は言葉に詰まった。


「私が呼びました~!二人きりじゃなくてごめんね!」
「あっありさが!?」
「一度位私が同席したっていいでしょ?ていうか、うまく行ったあともたまには入れてよ!」
「ちょ…何を勝手に…!」


いつまでも、その前にいる人との距離を縮めることなく二人はその場に立ち止まり温度差のあるやりとりをしていた。

それもその筈、晶はまったく第三者がいるだなんて思ってもいなかったし、今の今までありさもそれを報告しなかったのだから。
晶はまだ…というか元々そんな気がないのにありさの勝手な計らいでのお膳立て。


「そんなこと言ってたら、いつまでも“冬”のままだよ、晶!」
「いや、だからって急過ぎるでしょ」
「恋はいつでも突然よー」
「ありさと私は違うのよ!」


なかなかその話が長い二人に苦笑しながら向こうからその人物は近付いてきた。


「お疲れ。今日はお誘い、どーも」

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