雪が降る町~追憶のletter~
しんしんと。

暗い空から雪という名の小さな光の粒がふわりふわりと降ってくる。

毎年毎年それは降っては積もり、春になると溶けてゆく。


だけど、私の心に積もった雪は、あの日からどんどんどんどん積み重なって。

その下敷きになっていたものを覆い隠して見えなくなって。

まさか10年経った今、降り積もった雪が綺麗に溶けていくなんて思いもしなかった。




「“―――ありがとう”」



あの日の私を好きだと言ってくれて。
見ていてくれて。


心のこもった温かい雪を、白い封筒と共に届けてくれて―――。



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