雪が降る町~追憶のletter~
「それと」


ずっと下を向いていた晶が顔を上げて快斗を真っ直ぐと見つめてさらに言葉を言い掛けた。

快斗はずっと一緒にいて、ずっと離れていて、想いを寄せる幼馴染の見たことのない表情に目を奪われる。



「私も、あなたが好きです」



「―――は?」



目の前を遮る牡丹雪が邪魔をして、集中できない―――わけじゃない。
その雪の向こうに立つ晶の凛とした顔もちゃんと見えるし、冷えた空気はより音を、声をはっきりと耳元へ届けてくれる。

それでも快斗は聞き返してしまったのだ。

不意打ちの告白に。
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