雪が降る町~追憶のletter~
なんだか意味深な言葉を言う快斗の顔を見てみると、幼い頃の無邪気な表情ではなく、大人の男の人の顔をしていて晶は簡単に部屋に来たことに再度緊張感が生まれた。


「あっ…、そう。と、ところで快斗ってどんな仕事してるんだっけ?」


色々なことを誤魔化す為に晶は声を1トーンあげて言った。


「ん~…電機やさん…かな」
「え?あのテレビとか売ってる?」
「ああ、違う。色んな、工場とか、病院とか。そういうところの特殊な機械のメンテナンスとか、システム管理とか…」

(む~~…全っ然ピンとこない)

晶が難しそうな顔をして黙り始めたのを快斗が気付いて話を変えた。


「まあ、あれだ。こっちに戻ったから少しラクだな」
「え?そうなの?」
「海外とかほとんど行かなくていいし」
「海外···」


10年経った幼馴染は、環境というか、住む世界というか…色々と自分とは違っていて感嘆の息が漏れた。


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