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「はぁ~、卒業したな」
「陣、大変だったね、女の子達から逃げるの」
「みあがいなかったらもっと大変だったかも」
陣は格好良いから、たくさんの女の子が彼の連絡先を知りたがった。
だけど大学生活のほとんどを私が彼と過ごしていたから、諦めた子もたくさんいるらしい。
陣は寂しそうに私を見て、ぎゅっと抱きしめた。
「これからは、なかなか会えなくなるなぁ」
「そ……うだね」
なかなか会えなくなるんじゃない。
陣、私達が会うのは、これが最後なんだよ。
陣が私を抱きしめてくれる、その温もりが愛おしい。
このまま、時間が止まってくれたら良いのに。
そうしたら、陣は一生私のものなのに。
陣、私は貴方のなんだったのかな?
私、本当は最後まで貴方の気持ちがよくわからなかったんだ。
陣は佐和さんのことが大好きなんだよね。
それはわかってる。
嫌ってほどわかってる。
だけどさ、本当に佐和さんのことが好きだったら、なんで間違えたの?
なんで、私と一緒にいたの?
いくら考えても、私はやっぱり陣の気持ちがわからなかった。
だからかもしれない。
いなくなることを決めたのは。
私が陣のことをいくら想っても、無意味だから。
心のどこかで、陣が結局遊んでいるだけだと思ってしまう自分が、嫌だったから。
「みあと会えなくなるの、寂しいよ」
「はは、何言ってるの。陣には佐和さんがいるでしょ」
ずきん。
陣、知ってる?
私、こうやってさりげなく口にするだけで、心臓が鉄の処女に入れられてるような痛みを覚えるんだよ?