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「俺、佐和とは別れたんだ」
「!」

 驚いて、私は陣を見た。陣は見たこともないくらい真剣な顔で、

「みあの手紙を読んで、自分の愚かさに気づいた」

 久しぶりに見た陣は、ちょっと大人の顔つきになっていた。

「取り返しのつかないことをしたんだと、反省した」

 真面目に話す陣は、社会人の顔になっていて、強くなったんだなと感じた。

「あの時、みあを選べなくてごめん」

 私に謝罪する陣は、もうあの時の陣ではないんだなと思った。

「あの時、佐和と別れなくてごめん」

 陣が、そっと私の涙をぬぐう。

「みあがいなくなって、初めてみあの大きさに気づいた」

 思えば、陣の目の前で泣くのは、初めてだった。

「みあの涙にも気づかないで……俺、すっごい馬鹿だったよな……」

 寂しげに笑う陣は、懐かしくて。
 とても、懐かしくて。

「佐和と別れた後、ひゅかにみあの居場所を聞いたんだけど、教えてくれなかった」
「…………」
「もう諦めてた。けど……」

 陣は、少しだけ目に涙を浮かべて、

「本当に謝れてよかった」

 陣の涙を見るのも、初めてかもしれない。
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