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そう、私の隣にいるのは、氷田陣。
晴れて再会を果たした、私の大切な人。
今は、まだ気持ちの整理も終わっていなくて、どう表現して良いかわからない。
だけど、やっぱり彼の隣は、私の居場所のような気がする。
これから、ちゃんと向き合っていこうと思う。
自分の感情にも、陣の想いにも。
正装している陣が、苦笑する。
「いい加減、王子はやめようよ、ひゅか。これからはひゅかの旦那が、ひゅかの王子なんだから」
陣もたいてい、臭い台詞を吐くもんだ。しかしひゅかだって負けてはいない。
「あら、王子はいつまでもみあの王子様じゃない」
ひゅかの言葉に、私は真っ赤になる。しかし、陣は面白くなさそうだった。
「けっ、こっちが何度聞いても、みあの居場所教えなかったくせに」
どうやら陣は、ひゅかが私の居場所を教えなかったことを、かなり根に持っているらしい。
陣の話によると、大学卒業後、私がいなくなったあと、真っ先にひゅかに私のことを尋ねたらしい。
私の居場所は知ってると応えたひゅかだけど、決して口を割ろうとはしなかったらしい。
私が頼んだのもあるだろうけど、ひゅかが五年も約束を守ったのは、ちょっと意外な気もしたのは事実だ。
陣の言葉に、ひゅかは厳しい顔になった。
「みあのためよ。王子の気持ちなんか、知ったこっちゃないわ」
「ひゅ、ひゅか?」
花嫁の、いきなりのきつい言葉に私は戸惑う。