抵抗軍物語 ディスティニーズクロス

「鼠の生き残りか?」

そう尋ねるも、男たちは二人とも怯え切った表情で優奈の事を震えながら見つめる事しかできていない…。

それを見て滑稽に思った優奈は、フッ…と笑ってみせてから見下すような目で、

「…なんだよ。今度は誘拐でもし始めたのか?」

そう言いながら、足元に転がっている鉄パイプを拾い、男たちに詰め寄っていく。
先程のセクハラ犯と同様、不気味に赤く爛々と光る目で。

「ひ、ひぃ〜!!失礼しましたァァァ!!!」

男たちは恐れおののき、一目散に駆け出し、転び、地面を這うようにして道から去っていった。

それからしばらくした後、優奈は鉄パイプを地面に投げ捨て、先程男たちに詰め寄られていた女性の方を向き、

「大丈夫ですか?」

と、声をかけた。
本当は普通の敬語も使えるのだ。

その時には、いつもの優しい黒く澄んだ綺麗な瞳に戻っていた。

「えぇ…。ありがとう。助けてくれて…」

そう言いながら、女性はゆっくり優奈の方に顔を上げる。
その瞬間、優奈は驚愕の余り呆気に取られた。

遠くから見ていたのでよく分からなかったが、その女性は自分と同い年くらいの少女だったのだ。
桃色にウェーブのかかった長髪、血のように鮮やかな垂れ目気味の赤眼…

服装は黒と白を基調とした膝上までの丈のワンピース…
俗に言う『ゴスロリ』という服装だろうか?

「貴方…まだ未成年なんじゃ…」

優奈が驚きを隠せずにいると、彼女はクスッと小さく笑い、

「…ここで働いてるお母さんに、お弁当を届けに来たの。でも…帰る途中で道に迷っちゃって…」

「それで…アイツらに捕まった…って事?」

彼女は静かに頷く。

優奈は少し考え込んでしまった。

燐塊町外の住人、それも未成年になると、このままここにいては危険すぎる。
新顔に優しくする…なんて事は、この街ではありえない。
そしてこの街の事を何も知らずに訪れた人間は…
もう二度と、元には戻れない。
色んな意味で。

自分も未成年で、人の事を言える立場ではないが。

「じゃあ…出口まで案内します。着いてきて下さい。」

なってしまった物は仕方がない。
これ以上、彼女に被害が及ぶのを防ぐ事が先決だ。

優奈は彼女にフッ…と微笑み掛けてから、ネオン街の出口まで彼女を誘導する事にした。





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