抵抗軍物語 ディスティニーズクロス
それからしばらくして…
「そういえば…。まだお互いの事言ってなかったわね。」
そう言いだしたのは、美都。
現在、三人はリビング中央にあるソファーに座り、対峙している。
向かい合う二つのソファーの内、リビングの扉側には優奈、そしてその反対側に美都と、少し離れた場所に彼…というように。
「えぇ、確かに。」
優奈は先程いれた紅茶をズズッ…と飲みながら、美都に言う。
すると美都はクスッと笑って、
「じゃあお互いの紹介タ〜イム!といきますか!!」
異様な程ハイテンションで、叫ぶように言った。
何がそんなに楽しいのだろうか。
ハイテンションなのは構わないが時と場合という物を考えて欲しい物だ。
優奈も彼も、流石にそのノリには付いていけなかった。
が、美都はそんな事構いもせずに続ける。
「えーっと…、じゃあまず優奈。私の隣にいる、さっきアンタの裸見て落ち込んでたこの子は…「余計な事言うな!」猿飛炎真(さるとび えんま)っていう名前なの。」
「聞いてんのかよオイ!」
多分聞いていないさ。炎真と呼ばれた少年よ。
優奈はそう思いながら、彼の前に指を揃えて示しながら話す美都を見つめる。
「炎真だ。よろしくな。それと、さっきは本当ゴメン…」
コホン…と咳払いをしてから声を落ち着かせて、彼…炎真も美都の後に続いて言い、謝罪した。
「いや、別に気にしてないし…。あれはある意味事故だから…」
「…で、炎真。」
美都は優奈の説得の途中であるにも関わらず、二人の間に割り込み自分優先で話を進めようとする。
これには少しだけムカついたが、流石に今ここで美都に説教をするのも何なので、その苛立ちを少し強引に自分の中に押し込めた。
そんな優奈の心の中など知らない美都は、悠々と話を続ける。
「こっちにいるこの子が、この前話した神崎優奈ちゃん。可愛い子でしょ?」
「え?ああ…、まぁ…」
すると炎真は少し恥ずかしそうにしながら、外方を向いて言った。
「……。どうも…」
『可愛い』…その言葉に違和感を覚えながらも、先程の炎真と同様軽く挨拶をしておく。
そして尋ねた。
「…あの、ところで二人はどんな関係なんですか?」
「…。えーっと…何て言えばいいかな…」
美都は少しの時間、言葉を詰まらせてしまった。
しかしすぐに何かを閃いたようなスッキリした表情をして、
「炎真は、光郎の弟子なの。」
一瞬の静寂…。
優奈は紅茶のカップを口まで運ぶ手をピタッと止めた。
「お父さん…の………弟子?」
これこそ驚愕の真実だ。
優奈はしばらくの間、衝撃が強過ぎたのか硬直してしまった。