抵抗軍物語 ディスティニーズクロス
「だから私からすると甥っ子っていうカンジかな?アンタから見れば従兄弟っていうか義兄弟っていうか…。なんかよく判らなくなってきた…」
しかし美都は優奈が硬直している事に気付いていないのか、そのまま話を続ける。
「…?どうかしたのか?」
すると炎真の方が優奈のその様子に気付き、少し心配そうな表情で声をかける。優奈は青い顔をしていたのだ。
「えぇ…。大丈夫…」
そう答える優奈だが、動揺を隠しきれていなかった。
(…知らなかった。…お父さんに弟子がいたなんて…)
生前、光郎からそんな話は聞いた事がない。
ということは…光郎はその事実を隠蔽していたのだろうか。
(なんか…裏切られた気分…)
不意に脳裏に蘇ってきた、光郎の顔を思い浮かべながら、優奈はそう思った。
「これぞ正に驚愕の真実ってヤツかしらねぇ〜。」
「つーか美都姉、俺の事を話してなかったのかよ。説明くらいしといてくれたらよかったのに…」
すると炎真と美都は二人で会話をし始める。
その様子はまるで親子のような、姉弟のような…そんな風に優奈には見えて、少し羨ましくなった。
「いや〜、何となく優奈ちゃんの驚いた顔が見たいな〜って思ったんだけど…」
そう言うと言葉を止め、美都は一瞬優奈の方を見てから、
「…この様子じゃ、ドッキリ失敗みたいね。」
ため息混じりにそう続けた。
「…。…別に、驚くような事じゃないですし。」
しかし優奈はあくまでも冷静に…いや、強がりながらそう言う。
「元々、お父さんはあたしに自分の昔の話は絶対にしてくれなかったから…。おかしいとは思ってたんですけどね。でも…お弟子さんがいるくらいなら、話してくれてもよかったのに…」
空になったカップにコポコポ…と紅茶を注ぎながら、愚痴を言うかのように呟く。
そして紅茶を入れおわると、一口飲んでから炎真の方を見て、
「…あんな飄々としたダメ人間が師匠でしたら、さぞ大変だったんじゃない?」
「アンタさっきと言ってる事全然違うけど?」
そう言ってすぐ、美都にツッコまれた。
「しかも敬語とタメ語が混ざってるし、さっきまで『お父さん』って慕ってた人を急に『ダメ人間』扱いする?ちょっと動揺し過ぎじゃない?」
「いいえ、全然。全く。」
図星だ。
しかし優奈は既に見抜かれていると判っていながらも、あくまでもしらを切り通す。
「…プッ。ははっ。」
するとずっとそのやり取りを見ていた彼が、優奈たちに気付かれないように、そっと笑った。