抵抗軍物語 ディスティニーズクロス
「…で、えっと、猿飛君…でいいのかな。猿飛君はどういう経緯でこの街に?」
あの後、美都と優奈はしばらくの間言い争いを繰り広げていたが、結論から言うと優奈が美都を説き伏せた事により、終幕を迎えた。
そして仕切りなおし…という事も兼ねて、優奈は改めて炎真にそう尋ねる。
「あぁ…まぁちょっとした私情があってさ。」
炎真はいつの間にか美都が出していた、お茶菓子のケーキを食べながら答えた。
フォークについた生クリームが、頬についていた。
いや、ダジャレではなく本当に。
「…ちょっと炎真?違うでしょ?私がアンタを呼んだんじゃ…」
「いや、美都姉から昨日電話貰う前から、ずっとここに寄ろうと思ってたんだ。」
「ふーん…私情ねぇ…。ネオン街関連?」
「いや、ネオン街かどうかは判らねぇけど…」
すると炎真は少し訝しげな表情をしてから、
「あのさ、お前…この街の何でも屋だよな?」
「それなりに実績あるけど…」
「じゃあ…この街の事について、何でも知ってるって事だよな。」
「いや…知ってるも何も、自分が拠点とする街の事くらい、何でも知ってないとこの仕事はできないだろ。」
足を組み、首を傾けて『そんな事当たり前だ』と言わんばかりの表情で言う。
「お父さ…光郎からそう教えて貰ったんだが。」
その声色には、どこか嘲笑に似た余裕ささえもが感じられた。
「お、おぉ…そうだよな。」
(スゲー自信だ…。やっぱり仕事にはプライド持ってんだなぁ…)
炎真は少し戸惑いながらも、そう思った。
「…で?そんな事をあたしに聞くって事は、何か知りたい情報でもあるって訳?」
「ああ、実はさ…この街にいる、『破壊神』って奴に会いたいんだけど…」
……………………
「アハハハハ!!炎真!!アンタ頭大丈夫!?」
沈黙を破り、突然大声で笑いだしたのは、やはり美都だった。
「はぁ?おかしくなんかねぇよ!俺はちゃんと上からの…」
「いや、そうじゃなくって。その『破壊神』さんは今…」
「『破壊神』か、久しぶりにその名前聞いたな…。」
優奈は、美都の言葉を遮るようにしてそう言った。
そしてその後、
「そういえば…最近全く聞かないようになりましたね。それ。」
と、美都の方を見ながら尋ねる。
優奈に見つめられ、何を思ったのか美都は、飲みかけていた紅茶を吹き出して、その後しばらく咳き込んだ。