抵抗軍物語 ディスティニーズクロス
「ゲホッ…ゲホッ…、もー優奈!アンタ笑わせないでよ。」
「いえ…率直に聞いただけなんですけど…。」
美都が一体何に笑っているのか、何がツボにハマったのか…優奈には皆目見当も付かない。
いや、つきたくないね。
(どうせ美都さんの事だし…どうでもいい事思い出して笑ってるんでしょ…)
そう思い、大して気に止めない事にした。
「それにしても…本当にその名前久しぶりに聞いたな。」
「そうなのか?」
「うん。…五年程前までは街中がその噂で持ちきりだったけど…」
そして美都を放置し、炎真との話を進める。
「…で、今ソイツは?」
「判らない。ここ数年、それ絡みの事件はないし…。可能性として考えられるなら、もうこの街にいないとか…」
そう言い終わると、優奈は暫くの間黙り込み、ふぅ…と小さなため息をついてから、
「…この街にいたとしても、見つかるのは夜だな。悪党は日が沈む頃に動き出すから。」
そう言った瞬間、少し曇っていた炎真の顔がパァッと明るくなる。
「よし!じゃあ早速今夜…」
「構わないけど…無理だと思う?素人にはこの街は厳しいし。」
そんな厳しい言葉を放つ。
が、すぐに、
「あたしに依頼しなよ。その為の『何でも屋』なんだし。」
フッ…と笑ってみせてから、そう続けた。
一方の炎真はそんな優奈の様子を見て、少し呆れの混じった笑みを浮かべてから、
「判った…。じゃあ、依頼する。今夜、俺と一緒にソイツを探すのを手伝ってほしい。」
すると優奈はその場に跪いて、
「その依頼、確かに承りました。この命に代えても果たす事を約束しましょう。」
まるで王に忠誠を誓う家臣…兵士のようにそう言う。
これは優奈が、この店に直接来たお客さんから、依頼を受けた時に行う行動だ。元々は光郎がしていた事であり、優奈がまだ小さい時に見た光郎の猿真似…というのが正しい言い方だろう。
炎真はその姿に、遠い師の光郎の姿を重ね合わせてみる。
(…義理の親子でも、似るもんなんだな。)
そんな事を思った。
「そうは言っても…どうする?」
すると、立ち上がった優奈が壁に掛かっている時計を見て言った。
現在、午前10時20分。
夜までは、あと半日近くも時間がある。
「あ〜、とりあえず情報収集とかでも…」
「情報か…。」
優奈は暫く考え込む。
が、その直後何かを閃いたような顔をみせ、
「…あたし『情報屋』から聞いてくるから、猿飛君はここで待っといて」
そう言い、優奈は部屋を出ようとした。