純悪女!?~ドSなアイツの結婚計画~
「木本様、お気を落とされるのは分かります。今日のところはとりあえずキャンセルして、もう少し新婦様の連絡を待たれたらいかがでしょう」
黙ってしまった木本様に困って、そう提案すると、ほんの小さく頷いた。
キャンセルのための書類を取りに控室に行くと、桐生さんは何やらパソコンに打ち込んでいた。
「上手くいったか?」
「えぇ、まぁ」
上手くいった……。
わが社にとっては上手くいった。けれど、あの男にとっては生涯最悪の日なんだろう。
「サインを、こちらと、こちらに。キャンセル料は1週間以内にこちらにお振込みください」
木本様の顔色をうかがいながら、淡々と事務的な手続きを済ませる。