純悪女!?~ドSなアイツの結婚計画~
「やるな、安永」
「なんのことでしょう?」
式場の片付けを少し手伝ってデスクに戻ると、桐生さんがニヤッと笑う。
あの参列者の名簿を見た時、その中に、子供を除いて未婚者がひとりしかいないことを知った。
新婦の大学時代の友人だそうだが、あの時、顔をひきつらせたのは彼女だった。
ブーケトスは、「次はあなたの番」なんて意味が含まれたりする。
だから、未婚者がこぞって取りに行く……という印象があるけれど、それは若いうちだけだ。
新郎新婦が若い場合、「次の幸せを望まれる方」なんて煽ることもある。
けれど、今日に限って、そんなことを言ったら、彼女ひとりしか対象者がいない。