純悪女!?~ドSなアイツの結婚計画~

「それでは、ブーケトスに移らせていただきます」


私がその言葉を口にしたとき、思った通りの人が、顔をしかめた。


「ブーケは縁起物です。本日の新郎新婦、ご両人の幸せにあやかりたい皆様、どちら様でも結構ですので、前にお進みください。
さぁ、本日はどなたが幸せを手にされるでしょうか」


満面の笑顔でそう言った。

一瞬ざわついたその会場。
けれど、何人もの招待客が前に出てきてくれた。



「それでは、どうぞ」


新婦の投げたブーケは、ふわっと宙を舞って、思いがけず、一人の年配の男性の手に落ちた。
それでも、その男性はとてもうれしそうだった。


「おめでとうございます。本日の幸せの、お裾分けでございます」


そうやって、滞りなく式も披露宴も終わった。




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