純悪女!?~ドSなアイツの結婚計画~
「シャワー、ありがとうございました」
私がそう声をかけると、私の顔を見た彼はハッとした顔をする。
「泣いたのか?」
そう聞かれて、思わず顔を伏せる。
「髪を早く乾かせ。風邪ひくぞ。寝室使っていいから、ゆっくり寝ろ」
彼が次に口にした言葉は、私が期待したものとは違っていた。
期待した……。
わたしは何を期待したのだろう。
優しい言葉? それとも……。
眠れぬ夜を過ごして、彼のベッドの上であれこれ考える。
私に手をかけた時の木本の凄まじい形相。
「守ってやれなかった」そう肩を落とした桐生さんの姿。
そして、抱き寄せられた温もり……。
私はあの時――木本に締め上げられたとき、桐生さんを想った。
彼が来てくれる。必ず助けてくれる。
そう信じていた。
そして彼の顔を見た瞬間、緊張の糸がぷっつり切れて――泣き崩れていた。