純悪女!?~ドSなアイツの結婚計画~
「彼女が……結婚を止めるって……」
「はっ?」
思わずそう漏らしてしまった私を制したのは、隣にやってきた桐生さんだった。
「木本(きもと)様。それは、どういう事で……」
この場で一人、冷静すぎるほどの彼がそう話しかける。
「突然、もう、結婚できないって。それきり連絡が取れなくなって……」
「安永、ちょっとこちらへ。木本様、私どもからも連絡を入れてみますので、お待ちいただけますか?」
私を促して、席を立った彼は、慌てて電話に手をかける私を止める。
「詐欺だな」
「詐欺?」
「あいつ、いくらむしり取られたんだろう。ま、こちらとしても痛いが、キャンセル料はしっかり取ってくれ」
「えっ! そんな」
桐生さんは、初めてのケースに動揺してオロオロする私を鼻で笑う。
自分は全く動じず。
ねぇ、あんたに心はあるのかい?