『わたし』は『あなた』になりたい
「…なら、人形に宿らされた彼女の魂はどうなる?」

「かの人形が無事である限り、彼女の魂も無事ですよ」

「それはつまり…もう二度と、彼女を戻すことはできないということか?」

「ええ、だって彼女もそれを望んではいないでしょうから」

グっと唇を噛みしめる。

確かに彼女は人形のようになりたいと願ってはいただろう。

しかしそれが現実で起こりうるなんて、思わなかったはずだ。

「それで、お前達は何をするつもりだ? 輪廻転生の輪から外れ、闇の世界に堕ちてまで何を願う?」

「そんな大したことではないですよ。あなた方と同じく、最近では魔力を持つ者が生まれにくくなりましてね」

リリスは僅かに眼を細め、声を低めた。

「こちらも存亡の危機なんです。それをくい止める為の、処置だと思ってください」
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