絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅲ
前回会ったのは、2か月前。それを、「久しぶり」ではなく、「この前」と表現してくれたその距離感に勝手に一人、心が躍る。
「まあそうだけど。食べたらどうしようか。散歩でもする?」
あまりはしゃぎすぎると、引いて行かれることが分かっているので、あえて話題を逸らし、自分の心も気持ちを逸らしていく。
「天気いいしねー。砂浜?」
「うん。あっちの方に行ったらあんまり人がいないから」
「へー、あっち。行ったことないなあ」
窓の外を指差したが、彼女はちらと見ただけですぐに食事に視線を戻す。2人きりの散歩など、さも興味がないように。
その後、デザートがいつもと違う種類で量が多いと、大感激だった彼女はかなり軽い足取りで砂浜へ向かってくれた。
「あれってランチのデザートじゃなくてさ。普通のデザートだったよ!!」
「まあ、それくらいのサービスはあってもいいんじゃない? ビップルームなんだから」
本当は、彼女が喜ぶように予め店側に指示しておいたことである。彼女をこっそり綿密に喜ばせておきながら、それを暴露しない自分自身に満足し、余裕の笑み勝手に溢れてくる。
「すごいなあ、さすがグルメな芸能人」
彼女は、そんな内心の一喜一憂を読み取ろうともせず、先へ進んでいく。
5月の天気が良い日だったが、まだ海は少し寒く、泳ぐ気にはさすがになれない。
今日は平日なので人は少なめだが、誰もいない場所を選んで行く。外に出るとずっとサングラスをしていたので、ここではとりたかった。
彼女は人がいなくなると、海を見つめ、少しためらったあと、ハイヒールを脱ぎ、パンツの裾を巻くって足だけ浸かり始めた。
「つめたー!!」
この瞬間の写真を撮りたいと思いながら、すぐに自らも同じように足を海水の中へ入れる。普段ならする気にはなれないが、彼女と同じ潮の香りを嗅いでいるうちに、その姿に共鳴したのかもしれなかった。
「泳ぐのはまだ無理だなあ」
「そりゃそうだよ(笑)。5月だよ、まだ長袖だし」
笑って応えると彼女は続けた。
「……ほんと、誰もいないねー。デートスポットって感じ」
「まあそうだけど。食べたらどうしようか。散歩でもする?」
あまりはしゃぎすぎると、引いて行かれることが分かっているので、あえて話題を逸らし、自分の心も気持ちを逸らしていく。
「天気いいしねー。砂浜?」
「うん。あっちの方に行ったらあんまり人がいないから」
「へー、あっち。行ったことないなあ」
窓の外を指差したが、彼女はちらと見ただけですぐに食事に視線を戻す。2人きりの散歩など、さも興味がないように。
その後、デザートがいつもと違う種類で量が多いと、大感激だった彼女はかなり軽い足取りで砂浜へ向かってくれた。
「あれってランチのデザートじゃなくてさ。普通のデザートだったよ!!」
「まあ、それくらいのサービスはあってもいいんじゃない? ビップルームなんだから」
本当は、彼女が喜ぶように予め店側に指示しておいたことである。彼女をこっそり綿密に喜ばせておきながら、それを暴露しない自分自身に満足し、余裕の笑み勝手に溢れてくる。
「すごいなあ、さすがグルメな芸能人」
彼女は、そんな内心の一喜一憂を読み取ろうともせず、先へ進んでいく。
5月の天気が良い日だったが、まだ海は少し寒く、泳ぐ気にはさすがになれない。
今日は平日なので人は少なめだが、誰もいない場所を選んで行く。外に出るとずっとサングラスをしていたので、ここではとりたかった。
彼女は人がいなくなると、海を見つめ、少しためらったあと、ハイヒールを脱ぎ、パンツの裾を巻くって足だけ浸かり始めた。
「つめたー!!」
この瞬間の写真を撮りたいと思いながら、すぐに自らも同じように足を海水の中へ入れる。普段ならする気にはなれないが、彼女と同じ潮の香りを嗅いでいるうちに、その姿に共鳴したのかもしれなかった。
「泳ぐのはまだ無理だなあ」
「そりゃそうだよ(笑)。5月だよ、まだ長袖だし」
笑って応えると彼女は続けた。
「……ほんと、誰もいないねー。デートスポットって感じ」