絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅲ
佐伯達とのディズニーランドは予想以上に楽しかった。吉田の存在がどうなるかで本日の勝敗が左右されると思っていたが、着いてみると案外気さくで(といっても特に何を話したわけでもないが)、誘ってみてよかったと思った。
駅に降りてすぐ、公衆電話を探す。東京マンションの電話番号をNTTに教えてもらい、そこから内線で自宅まで繋いでもらった。携帯がなくても、案外どうにでもなるものである。
「もしもしユーリさん?」
『あーもうどこ行ってんのよ! 宮下さん来てるよー!』
「え、いつから?」
『今やけど(笑)、ほんと今、びっくりしたよ、来たと同時に電話かかってきたからね』
「えーあのぉ、私今駅なんですけど、迎えに来てくれません?」
『じゃあ宮下さんにそっち行ってもらおか?』
「え、いやあ……」
『だって今家めちゃ汚いよ! 誰も掃除してへんし』
「というかもう上がってるんですよね?」
『そうやけど……』
「いいですよ、ユーリさんが迎えに来てくれれば。ってもう飲んでます?」
『えー……俺今仕事中やし……』
一体どんな仕事か説明してみろ! と心の中で叫ぶ。
『え、あ、そうなんですよ、今駅らしくて』
ユーリの声が遠い。宮下に話をしたな……。
『宮下さんがそっち行くって』
「ああそう……私今日忙しいんだけどなー」
『何が?』
「じゃあ、駅の側のカフェで待ってるって言って。その方が分かりやすい」
『はいはい、了解』
「あ、私携帯持ってないから」
『えー! あぁ、そんでこんな変なとこからかけてきたんね』
「うんそう、じゃあとりあえずお願いします」
『了解―』
電話はとりあえず切れる。香月は電話ボックスの中から出ると、カフェを目指して歩き始めた。すぐ側、一分もかからない。
駅に降りてすぐ、公衆電話を探す。東京マンションの電話番号をNTTに教えてもらい、そこから内線で自宅まで繋いでもらった。携帯がなくても、案外どうにでもなるものである。
「もしもしユーリさん?」
『あーもうどこ行ってんのよ! 宮下さん来てるよー!』
「え、いつから?」
『今やけど(笑)、ほんと今、びっくりしたよ、来たと同時に電話かかってきたからね』
「えーあのぉ、私今駅なんですけど、迎えに来てくれません?」
『じゃあ宮下さんにそっち行ってもらおか?』
「え、いやあ……」
『だって今家めちゃ汚いよ! 誰も掃除してへんし』
「というかもう上がってるんですよね?」
『そうやけど……』
「いいですよ、ユーリさんが迎えに来てくれれば。ってもう飲んでます?」
『えー……俺今仕事中やし……』
一体どんな仕事か説明してみろ! と心の中で叫ぶ。
『え、あ、そうなんですよ、今駅らしくて』
ユーリの声が遠い。宮下に話をしたな……。
『宮下さんがそっち行くって』
「ああそう……私今日忙しいんだけどなー」
『何が?』
「じゃあ、駅の側のカフェで待ってるって言って。その方が分かりやすい」
『はいはい、了解』
「あ、私携帯持ってないから」
『えー! あぁ、そんでこんな変なとこからかけてきたんね』
「うんそう、じゃあとりあえずお願いします」
『了解―』
電話はとりあえず切れる。香月は電話ボックスの中から出ると、カフェを目指して歩き始めた。すぐ側、一分もかからない。