境界線
リョウスケとは三年間も付き合っていた。長い付き合いの間、彼が浮気した回数は数えきれない。
今思うと馬鹿らしい。
どれだけ裏切られても、私は逢うたびにリョウスケを好きになっていた。
だから別れを切り出すのにも長い月日を要してしまったのだ。
だから正直言って今でもふとリョウスケのことを考えてしまう瞬間もある。
今、どんな女といるんだろう。
リョウスケは私のことを、今どんなふうに見ているんだろう。
さっきもエレベーターの中で久々に顔を逢わせたことで、少し鼓動がはやくなっていた。顔も赤くなっていたかもしれない。
もしマキが私のその変化を見て、さっきの質問をしたのなら、その相手はきっとリョウスケだ。
高橋じゃない。