移り気な男とワケあり少女の×××!
何の特徴もない顔。
眉は殆ど残っていない。
黒い髪はかろうじて一つにまとまられる程度に伸ばしてある。
瞳は深い蒼だ。
「…わかった。好きにするといい。
軍にはうまく言っておこう。」
苦い顔をしながら、上司がそう言うと少女は嬉しそうに飛び上がった。
「わーい、ありがとうございます!
本当にありがとうございますゾルガさん!」
「ただし、リューも一緒だ。それ以上、譲歩はしない。いいな?」
リューは暗殺を専門とする軍の部隊に所属する少年だ。
アシェルの身の回りを護衛するために付けるのだろう。
もちろん、リューはアシェルにとって邪魔者でしかない。
ただの諜報役と言えどもアシェルだって、自分の身くらい守れるのだ。
本当は嫌だが、仕方がない。
アシェルは渋々頷いた。