紅梅サドン
ビニール製の真っ赤な寝袋が、ルノーが寝返りを打つ度に、僕の白い布団に次々と浸食してくる気味の悪い虫みたいにカサカサと嫌な音を立てた。

目がくらむ。夜の闇に浮かび上がった赤い寝袋の擦れる音は、まるで寂しい津波の音に似ている。



鞄に寝袋を常備しているこの美少年。

まんまと僕の部屋に泊まり込んだ美少年。

僕のTシャツを着たままの美少年。

コイツは明らかにーー。




『ホームレスだ』





悩まない。
必ず明日、マスリカの正体を聞いたら出て行ってもらう。

オマケに雪女にもおさらばだ。



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