アイ・ラブ・おデブ【完結】
「大丈夫だ…さあや!
…僕がいる」

いつもの香りと温もりに包まれ耳元で力強く囁いた遥の声に、小夜の心は落ち着きを取り戻した

「お願い…
傍に…ずっと傍にいて!」

そうはっきりと言葉にしたが遥からは何の返事も聞かれない

そのまま遥の胸に抱かれ、その速いリズムの鼓動をじっと聞いていた

しばらくすると遠くから人の声が聞こえ、小さな明かりが近づいてきた

先程ランチをご一緒したオーナーの息子…シモンが、懐中電灯を手に向かえにきてくれた

遥と言葉を交わし出口へと導いてくれる

地下のトンネルを抜けると雨の匂いが強くした

小屋の中にたどり着く頃には激しい雨音が聞こえ、天候の急変を報せた

「近くの変電施設に落雷があったらしい…」

先程まで青空の下でランチをしていたのに、今は空全体が厚い雨雲に覆われ薄暗くなっていた

遠くの方から雷鳴が聞こえ、もう遠退いたのかと思った時に大きな地響きと共に、辺りがフラッシュの中にいるような明るさに包まれた
< 1,128 / 1,499 >

この作品をシェア

pagetop