アイ・ラブ・おデブ【完結】
「今のオーナーは…
結婚式の夜に奥さんと開けたらしい…
子供が生まれたときとか成人したら一緒にとか…考えたみたいだけど
未来まで待てなかったらしい
でもそれで良かった、後悔していないと話してくれた」

…あたしなら…いつ開けるかしら?
やっぱり…結婚式?
いや…次の嬉しいとき、その次の…って開けずに年を取り、お墓に入ってしまうかも…

「ねえ…どうして良かったの?」

「自分の幸せは奥さんと結婚したことで始まっている
この味と奥さんを守り続けていく決心がついたから…
そう話していた…」

「へぇ~…素敵な話ね!
ハルならいつ開ける?」

何気なくそう質問を口にして遥を見上げた

…えっ!?どうしたの?

小夜のすぐ傍にいる遥は今にも泣きそうな、苦しそうな表情をしていた

「ハル…」

繋いだ手に力を込めて名前を呼んだ時…音もなく明かりが消え、真っ暗闇に包まれた

「キャッ!」

一瞬にして何も見えなくなってしまった…隣にいる遥さえ見えない

ここまでの暗闇など体験したこともなく焦り始めた時、小夜は遥の腕に抱きしめられた
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