アイ・ラブ・おデブ【完結】
由美子が連れていってくれたのはこじんまりとしたレストランだった

オフシーズンにも関わらず、席はほぼ埋まっており、店の味を期待させる雰囲気だ

案内された個室で小夜は遥との事を話した

「小夜はこのまま待っているだけで、いいの?
その何とかっていう女優に横取りされて…指をくわえているの?
あの時の…東京に乗り込んで大物政治家に噛みついた小夜は…
もう…牙を抜いたのね…」

ワインを流し込みながら由美子はガッカリした表情で呟いた

「あたしは…ハルを信じている…
ハルの心は変わっていないって信じている
いつか戻ってくる日を…待ってるの…」

そう心に決めた事を口にしてみるが、やはりそれでいいのか気持ちがぐらつく

「ふん…いつか戻ってくるなんて…相手の気持ちが変わらないなんて…
お婆ちゃんになるまで待っていればいいよ!
小夜!アンタ忘れたんだね…
自分の道は自分で踏み出さなきゃ変わらないってこと!
高校生の小夜は迷いながらも前に進んでいたよ
私はそんな小夜に憧れていたんだ…
信じているなんて…ただの綺麗ごとだよ
臆病者のへなちょこがする間抜けだよ」
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