アイ・ラブ・おデブ【完結】
忘れられない温もり
カーテンの隙間から射し込む眩しい光りで目覚めた

すでに日は周り、昼近くになっているようだ

重たい体とまだはっきりとしない頭を持て余し、遥は今の状況を分析した

目覚めた時から…正確には目覚める前から、その匂いがすぐ傍から漂っていた

鼻をつくその薔薇の匂いに起こされた…というのが正しいかもしれない

顔を横に向ければそこには、顔も会わせたくない人物がいるはずだ

…夕べは…

そっと目を閉じ、できる限り思い出そうと試みた


昼間はフランスの片田舎で、酪農家の所にいた

環に帰って来るように命令を受け、急遽戻ってきた

クリスマス辺りからインドに行き、そのまま年明けには地方を飛び回っていた

気力は湧いて来ないが、ここでじっとしているのはもう耐えられない

だから、インドを出てから直接あちこちを回っていたのだ
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