アイ・ラブ・おデブ【完結】
「そうね…疲れた…」

何に疲れたのかなんて、自分がよく分かっている

音沙汰の無いものを待つのも、聞きたくない話を聞くのも…

新聞や雑誌、テレビからは毎日のように環の話題が流れていた

年が変わるまでは、海外で成功した憧れの存在であったのに、今では日本の恥さらし的な扱いだ

手のひらを返した報道に小夜は正直、戸惑っていた

もちろん遥にしていることは許せないが、あまりのバッシングに可哀想な気がしてきたのだ

そんなことを口にすれば、由美子辺りにどつかれるだろう

由美子と慎太郎は既に1ヶ月以上も向こうにいる

申し訳なくて、何度も帰ってくるように連絡をしたのだが…

慎太郎はあちらで仕事をしているとか…(本当なのかどうか、かなり怪しい…)

由美子はまだ見ていない美術館があるとか…(そんなに美術館っていくつもあるの?)

いつも上手いように、はぐらかされていた

その事も小夜の気持ちを重たくしている原因の一つである
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