アイ・ラブ・おデブ【完結】
出版社の人がインタビューの終了を告げて、針のむしろの上にいるような時間が終わった

控え室のような部屋に連れられ、小夜はやっと新鮮な空気を吸えた

…ふぅ~

「慎太郎さん!こ…これはどういうことですか?
まるであたし…恋人だと思われたんじゃ…」

少し責めるような言い方になってしまったが、このくらいは許されるだろう

もし、由美子が小夜の立場なら、皆の前で回し蹴りくらいはしていたに違いない

そして、慎太郎の眼鏡など吹っ飛び、修羅場化していた筈だ

真剣な表情で詰め寄る小夜に微笑みを向けながら、慎太郎は近づいてきた

「まあまあ…怒らないでください
疲れたでしょ?座りましょうか」

部屋の中央に置かれたソファに座らされた

…ちょっと!落ち着いている場合?
それとも、本の業界ではこんな嘘が…人を騙したり貶めたりするのが、当たり前なの?
そんな…

溢れだした感情が、怒りから悲しみに変わり、俯いて自分の膝を見つめた
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