アイ・ラブ・おデブ【完結】
それから四ヶ月後の小夜の誕生日…

都内の小さな教会に遥と小夜は腕を組んで並んでいた

明るい外の日差しは天井のステンドグラスを通して、二人の元へと柔らかに降り注ぐ

二人の後ろには田舎から笹原家と平野家の合同バスツアーでやって来た家族と…
二人のキューピッドを担った友人たちが見守っていた

「よっ!男前!」

最前列に座る遥の祖父が、ベールを上げて今まさに誓いのキスをしようというタイミングで、張りのある声をかけた

「じいちゃん…」

「お父さん!キスが終わってからにしてよ!」

遥の落胆する声と遥の母が突っ込みを入れる声が続く

厳かな雰囲気の教会に笑いの渦ができ、緊張していた小夜の顔にも笑みがこぼれる

「ハル…大好きだよ!」

小夜の告白に、遥も呆れ顔から一変して柔らかな笑顔を向けた

「あぁ…僕の年季には負けるけどね!
愛してるよ…さあや」

小夜にだけ聞こえるような囁き声で、そう告げると唇を重ねた

「よっ!果報者!!」

またもや、祖父が歌舞伎観覧のような掛け声をかけ、笑いの神までもが祝福をしてくれたようである




        【終わり】
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