アイ・ラブ・おデブ【完結】
本気なのか、冗談なのか分からないことを言いながら近くの店に目をやる


「小夜…僕はここにいるから行っておいで」

と握っていた手をやっと離してくれた

解放された右手は久しぶりに外気に触れひんやりとした

…一週間…この手は握られないんだ…
遥さんの温かい手に握られていると安心するな…

小さい頃、小夜は不安なことがあると自分でギュッと両手を握りしめていた

そうすると握った手から勇気が湧いてくるような気持ちになれたからだ

遠い昔に誰かが教えてくれたおまじないのようなものだ
< 520 / 1,499 >

この作品をシェア

pagetop