アイ・ラブ・おデブ【完結】
「そりぁ~琴乃の櫛じゃ!
お嬢さん…いったい…どこで…」

祖父は小夜が手にした柘植の櫛を大切そうに受け取った

それはあの日、病院で小夜がもらった桜が彫られた小さな櫛だった

この櫛は小夜がいつもバッグの中に入れている大切なお守りだ

「あぁ…そうか…」

祖父は掌の櫛から顔を上げ、小夜を見た

「お嬢さんは…さあやちゃんだね…
ばあさんの可愛がっていた…さあやちゃんだね…
うん…うん…あの頃と変わらずべっぴんさんじゃの
うちのハルが大好きなさあやちゃんだ」

その瞳には強い光が灯っている

「じいちゃん!そうだよ!
僕の大好きなさあやだよ!」

祖父を見つめる母親の目にも光るものが溢れていた
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