ホモカレ
数秒後はくるはずの痛みはなく、あるのは誰かに抱きかかえられてる感触。
美幸が恐る恐る目を開けると、そこには、深い青色の瞳をした美少年がいた。
「大丈夫?怪我はない…?上から女の子が降ってきたから反射的に受け止めちゃった」
そういって男は、抱えていた美幸を足からそっと地面に下ろし微笑んだ。
(何、この人―!今まであった中の誰よりもカッコいい…)
しばし、その男に見とれていた美幸だが、我に返り、頭を下げた。
「すいません。怪我はないです…助けてくださって、ありがとうございます。」
「そっか、良かった。今度は足踏み外さないように気をつけてね」
花が咲いたようにニコッと笑う彼の笑顔が眩しくて、再び彼の顔に見とれてしまった。
「あ、もう式始まるし。じゃあね」
腕時計を見て慌てて、この場所から立ち去ろうとする男を引き留めたくて、美幸はとんでもないことを言ってしまった。
「あの…っ!」
(まって、行かないで、行かないで)
美幸の叫び声に男は、振り返る。
美幸は自分の気持ちを抑えきれず、叫んだ。
「結婚してください!」
この時の私は、焦りすぎていた。自分でもトチ狂ったことを発言をしてしまったと自覚している。
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私の色々ぶっ飛んだ発言に、目の前の男はキョトンとした顔を俺と…?といって自分の顔に指指している。周りにいた人たちも驚いた顔をして此方を見ている。
普通は「名前教えて下さい」や勇気があれば「連絡先を教えて下さい」というだろう。
私の場合、そのどちらでもなく、初対面の彼に「結婚してください」なのだから、相手はドン引きだろう。
慌てて弁解しようとするがうまくいかない。
「ち、違うんです。本音と建前が反対になっちゃって…ん?いや、本音とかじゃなくて…ただ私のどスライクの顔で…いや違います何でもないです!すいません」
駄目だ。話せば話すほど自分がドツボにハマっていく。
この場にいるのが耐えきれなくて、もう一度お礼をいって立ち去ろうとしたが、茫然としていた彼が突然、腹を抱えて笑い出した。