シーソーが揺れてる
「なんだかんだ言ってつき合えたならよかったけど・・・」
ユニットバスのドアを閉めると春香は独り言を言った。
春香と広美は高校の同級生。二人ともクラスは違うが合唱部で仲良くなった。
高校を出てからは春香は音大に、広美は福祉の専門学校に進んだ。それからは互いの誕生日や年賀メールなどたまにメールのやり取りをしていた。
大学に入り1年が立とうとしてる時、春香は音大を自主退学した。授業について行けず体調を壊してしまったのだ。しかし辞めたのはいいけれどこれと言ってやりたいことが無いし働く気にもなれずにいた。
仕方なく地元に戻ったのだが家族からの反対や仕送りが途絶えてしまうことを恐れて春香は大学を辞めたことを親には秘密にしている。
そんなわけで隣町のアパートで一人暮らしをしている広美に無理を言って居候させてもらっているのだ。

洗面台で顔を洗って髪をセットしながら鏡を見た春香は驚いた。何もしていないはずなのに、その顔はずいぶん疲れ切っていた。
春香は昨日体調がすぐれず1日中寝ていた。
今日もまだいいとは言えないのだが、広美が居ないんじゃ自分でどうにかするしかない。
春香はユニットバスから出るとその足でキッチンに向かった。
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