シーソーが揺れてる

二人はベンチに戻ると早速さきほどのパンの袋を広げた。直人は例のウィンナーロールを、春香はクリームパンを食べ始めた。
「これどこで買ってきたんだ?」
ウィンナーロールをほうばりながら直人が尋ねる。
「そこのパン屋さん」
「そこのってどこだよ」
「あれ?この公園の近くにパン屋さんできたの知らない?ほら昔駄菓子やだったとこ」
「あー・・・!そういやあそんなところあったなあ」
直人はウィンナーロールを飲み込むと、空に目を泳がせながら懐かしそうに言った。
「私中学の時、あの駄菓子やに行ってみたいってずっと思ってたんだー」
「おれはあそこしょっちゅう行ってたけどなあ」
「あんたはそうでしょうねえ」
春香は皮肉っぽく笑って見せた。
「それでこの公園で買ったお菓子をみんなで食べたんだよ」
「そこを先生に見つかって、私たちまで説教されたあげく、寄り道禁止にされたってわけでしょう」
春香は再び皮肉っぽい笑いを直人に向けた。
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