シーソーが揺れてる
「あっちにゴミ箱あるけど」
ベンチに戻り一息つく直人に春香は公園の奥にあるゴミ箱の方を指さして声をかけた。
「あんなとこにあんのかー?」
直人は春香が指さした方向を見て少し苛立ったように言った。
「遠くまで行くのめんどうだから持って帰る」
そう言うと直人は視線を元の位置に戻した。
「遠くって、ほんの何百メートルの距離じゃない。まっべつにいいけど。でもそんな物持ち帰ってどうするの?」
「潰してリサイクルに出すんだよ。ほら、小学校の4年か5年の時一緒にやっただろー」
「あー、・・・!」
幼稚園からの友達だった二人は、その時も同じクラスで総合学習の一環で社会と関わることを目的で学校の生徒や先生から自宅などで飲み終えた空き缶を集めてクラスのみんなでそれを潰してリサイクル業者に持って行っていたのだ。
「そう言えばそんなことしてたよねえ」
頭の片隅にあった記憶を引っ張り出しながら春香はしみじみ言った。
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