シーソーが揺れてる
「おっともうこんな時間か」
腕時計を見て直人はベンチから少し腰を浮かせた。
「これからまた仕事?」
立ち上がろうとする直人に春香は尋ねた。
「うんそう」
そのままの姿勢で直人は答えた。
「そっかー、お疲れ様」
「そっちは?」
「うーんどうしよう」
春香は考え込んだ。
「暇だねえ」
そんな春香に直人は冷やかすような笑いを浮かべて言った。
「しょうがないでしょ、学校辞めたんだから」
「あーそうだったねえ。バイトすれば?」
「バイトねえ。体調が落ち着けばやろうかなあとは思ってるけど」
「家おいでよ」
「え?泊めてくれんの?」
春香は戸惑いつつ聞いてみた。
「いやそうじゃなくて・・・、まあ泊めてやってもいいけど、今おれが言ったのはバイトに来ないかって話」
そう言う直人にもあせりと戸惑いの色が出ていた。
「あっ、なんだ」
春香は今さっき自分の発言が恥ずかしくなって後悔した。
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