シーソーが揺れてる

牛丼屋を出ると、雨はさきほどよりも雨足を増していた。そんな中良太は、
「午後から学校があるのですみませんが・・・」
と言って春香の乗るバスと反対側のバス停に着いたバスに乗り込んで行った。
「で?あんたはいつまでここに居るつもり?」
傘をさしたままバス停のベンチに腰を下ろした春香はその横に座った直人に不機嫌そうに聞いた。
「バスが来るまでだよ」
そんなの当たり前だろうと言いたげに直人は答えた。
「え?」
春香は聞き返した。
「女はちゃんと最後まで送る物なんだよ。良太のやつほんと分かってないなあ」
「午後から大学なんだからしょうがないでしょー」
「ほんとに大学行ったのかー?今日の午後は大学無い日だぞ」
「サークルとかテスト期間なんじゃないの?」
「大学って忙しいんだなあ」
「そうよ。ただでさえ授業について行くだけでもたいへんなのに、サークル掛け持ちなんてしてたらほんとに・・・。それより!」
春香は傘から顔を少し覗かせると改めて直人を見た。
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