逃げる女
『み…美里。』


頭を押さえながら私をみる充の顔は、後悔だらけの辛そうな表情で、そんな顔を見せられて胸がズキンってした。



「あーもうっ!なかった事にしよう!!」



『でも…』




「でもじゃないっ!いい?私達の間には何もなかった。わかった?」



『…本気で言ってるの?』


「超本気だよ!!昨日は充に愚痴ってそのまま酔い潰れて眠ってしまった。そうでしょ!?」



そんなあからさまに動揺されて…ヤバイって連発されて…謝られたらさ…何もなかった事にしなくちゃいけないでしょうが!



「それでいいよね?」



今まで通り友達でいられるなら、それでいいよ。




『…わかった…』




そう呟く充に少しほっとした。



.
< 151 / 197 >

この作品をシェア

pagetop