逃げる女
触れるだけの軽いキス。


私は目も閉じずにキスしてくる大志君を見てた。


『美紀ちゃんの唇、柔らかい。』


唇がわずか1cm位しか離れてない位の距離で呟く様に言う。


唇は普通誰でも柔らかいものだと思うのに。


改めて言われると、今したキスした実感が沸き上がって、心臓がドキドキを通り越してバクバクし始める。


照れ臭くなって下を向こうとした私を遮るかの様に少し下から私にキスをしてきた。



「んッ…」


今度のキスは最初とは違う。重なると同時に舌がすぐさま私の口内へと侵入してくる。


逃げる私を追い掛ける大志君の舌。


気付けば右腕を掴んでいた大志君の左手は私の背中へと移動してて、私の左手は大志君の胸元のシャツを握りしめていた。


「ふ…ッ…んッ…」


時折顔の角度をかえてキスを繰り返す大志君。


少し離れた唇からは、吐息が漏れてしまう。



カラオケBOX滞在時間の1時間
部屋を出る寸前までずっとキスだけを繰り返していた


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