白雪姫と消しゴム


久美子、遅いなあ?
そんな事を考えながら
ベンチの背もたれに首をのせて
空をじっと見ていた。
もう春だ、冬ほどの寒さはなくなっている。
公園にある花壇の花も
もう咲きそうな勢い。

「早く咲くといいね?
君たちもこの空を早く見たいでしょ。
あたしがオススメするよ、
はやく目覚ましちゃいなよ」

花に向かって話す、
いつからこんなメルヘンになった?
まあいいよ、自然と触れ合うのも
悪くないでしょ。

「う~ちゃ~ん!!」

静かな公園に響く
聞きなれたあの声。
スズメは一気に飛び立って
公園にはあたしと声の主だけになる。
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