永遠の約束(深青編-序章-)
「ちょっと、大也! 待ってよ!」
先を歩く大也に向かってみゆきは声をかける。
「もう、しなきゃいけないことはすんだろ? 早く帰ろうぜ」
「何言ってんのよ! 学校に合格の報告しなきゃいけないでしょ!」
「生徒の合否って学校に、はいってるんだろ? わざわざ報告する必要ないだろ」
「ばーか。そうは言っても、みんな行ってるの。だから、あんたも行くの! それに、突拍子もないこと言って先生たちに迷惑かけてんだから、礼ぐらい言いなさい!」
うざそうに顔をしかめる大也の腕を掴んで自分たちの家とは正反対の方へとみゆきは引っ張っていった。
仕方なく、みゆきに引っ張られるままに歩き出した直後、背筋をなでるような寒い感覚を大也は感じる。
その感覚は子供のころから幾度となく体験した感覚だった。
大也は立ち止まり、辺りを見回す。
「どうしたのよ? 急に立ち止まって」
急に立ち止まった大也の様子を見てみゆきは表情を変える。
「もしかして、また何かいるの?」
みゆきの問いかけに頷いて答える大也。
誰も信じてもくれないがみゆきだけは昔から信じてくれていた。
そのことに、大也はいつも感謝している。