月夜の訪問者
やっぱり気まずい雰囲気は、途切れてくれなくて。

結局、食事が終わるまで、その雰囲気のままだった。

食事が終わると、部屋に戻る気にもなれず
和泉に我が儘を言って
外に連れ出してもらう事にした。

玄関を出れば広庭、そして門を出れば海が見える。

どうせ勉強を教えてくれる人も居ないんだ。
ゆっくりさせてもらおう

外に出られるのも今日が最後なのね…

そう考えるとやっぱり寂しくなる。

割りきれ私!

崖っぷち付近まで行き、腰を下ろす。

風邪が気持ちいい。

フッと

日除けとして和泉がさしてくれていた傘が、風に飛ばされる。

「申し訳有りません」

慌てて追いかけて行く和泉

「いいわよ、深追いしないで!」

慌てて引き留めたが、和泉は行ってしまった。
しっかりしてるようで、ちょと抜けてるのよね
まぁ、そこが可愛いくも有るけど

クスッ

と、思わず笑ってしまう。

その瞬間、突然ガッと後ろから誰に口を抑えられた。

片手に抱えられ、無理矢理連れて行かれる。

何なの!?誰?

恐怖に混乱する。

身を隠すかの様に、岩場に連れ込まれてしまった。
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