月夜の訪問者
「申し訳有りません友理さん
静かにして下さいね」

そう言って、そーっと離される手
聞き知った声に、驚きつつ振り返る。

「翔馬!」

そう、家の警備員である。

「すみません、友理さんが誘拐された様だったので、助けようとずっと後を着けていたんです。」

と、翔馬

えっ

「いつから?」

まさか、一週間前から居たんとか言うんじゃ…

「友理さんが、知らない男に馬車に押し込まれてる所を目撃して、慌てて追いかけたのですが、間に合いませんで…
昨日、その男が雪子様に会いに来たので後を」

私の質問に、事細かく説明してくれる翔馬

昨日、雅が会いに行ったのは姉さんだったのね。

でも、何で?

姉さんの事、好きになったのかしら?

ズキンと、少し胸が痛む。

「友理様ー、友理様ー」

和泉の声が聞こえる。
私を探してるんだ

「ごめん、翔馬行かなきゃ
明日には帰るから。」

と、和泉の声のする方へ行こうとする私
だが
ガッと翔馬に腕を捕まれ阻まれた。
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