気ままに生きる

俺たち3人の音は、その時の感情を音で出しているだけだよ

 1994年9月16日、PINK CLOUDの最後のライブとして武道館でコンサートをやった。リハーサルはたぶん2~3回やったと思うよ。

 俺はあまり考えもなく、とりあえず最後だからという気持ちで楽しく終わらせたかった。でもCharもジョニーもこの時はちょっと暗かったかも。楽屋なんかでスタッフもメンバーもなんとなくギクシャクしていたような感じもあったよ。俺は明るかったんだけどね。ただ明るく振る舞っていただけかもしれないけど。

 長く続けてきたバンドだったし、今考えるといろいろと思い出深いことがあるけど、俺はその時は楽しくライブを終わらせようぐらいしか考えていなかったね。

 本番のステージではベースをずらりと並べたけど、これは俺の意図じゃないよ。その頃、一緒に手伝ってくれた人が楽器を並べるのが好きでやったんだ。俺は楽器をいっぱい並べるのは好きじゃないけど、せっかく並べてくれたし、ステージでその並べた楽器を見ていると、いろんなことを思い出して、次はこのベースを使おうかなとか思いながら3回くらいは変えたかな。結局最後はフェンダーのジャズベ(ジャズベース)で終わらせた。たくさんの楽器にお別れしたようなもんだね。

 演奏はアルバムと同じでジャム・セッションから始まった。それは3人の気を高めるようなジャムですごく良かったと思う。終わりの幕開けって感じだね。その後はなんの曲をやったのか、よく覚えてないけどね。

 そして武道館のライブが終わると俺はすぐに家に帰った。この武道館ライブはプレイとしてはよく演奏ができたし悔いは残らなかったけど、演奏の雰囲気としてはどこか物悲しいところはあったね。まあ、それもひとつの味だね。
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